毎日こう雨だと通勤が大変である。というのも僕は自転車通勤であり、しかも片道40分だ。自転車は有酸素運動なので、身体にいい…のは判ってるが、こう雨では困る。
土日もずっと雨で、しかも日曜日は奥さんは薙刀の練習。うちでロックと僕の二人きりである。
「ロック、男同士水入らずだな!」
「……」
(ただただ遊んで欲しそうなロック)
しばらく日記など書いていたが、妙に肌寒い気がしてふとあることを思いついた。
「そうだ! ファンヒーターを出そう!」
季節は8月。しかし出すと言ったら出すのである。と、言うのも実は冬の灯油が余った状態で放置しており、どうしようとは思っていたのだ。
《冬を越した灯油は使用しないで下さい》
と、ファンヒーターの裏に書いてある。古くなった灯油は不完全燃焼の元なので、危険なのだと以前に知った。しかし! 今ならまだ8月、ファンヒーターを使わなくなってから、まだ半年もたたない。
「よし、じゃあロック、ファンヒーターだ!」
スイッチを入れると熱風が噴出す。うーん、久しぶりの感触だ。季節はずれのファンヒーターも悪くない。…などと思っていると、ロックがいそいそと移動。ファンヒーターの前にチョコンと陣取る。
「そうかロック、相変わらずファンヒーターが好きだな!」
ロックは冬同様にファンヒーターが好きらしい。暑いときにはクーラーの前に陣取るので、やはり少し涼しかったのだろう。僕も満足である。
雨のなか車を出して迎えにいき、帰ってきた奥さんに、ファンヒーターの件を報告する。喜ぶかと思いきや、
「暑い! 暑いわよ!」
「え…いや、雨だしちょっと涼しいかなって…」
「いっぱい運動してきたし、暑すぎるわよ!」
「けど、ロックも気に入ったみたいだし…」
「情けない! それでいいのか、ロック!」
「……」
奥さんは寝るまで「暑い、暑い」と言っていた。足の皮が剥けるまで練習したらしく、やたらと暑がっている。おまけに剥けた足の皮が痛いらしい。
「暑い、痛い、アツい、イタい」
ブツブツ言いながら疲れたらしくひと寝入り。ロックもケージのなかで寝ていたが、ロックはなにやら寝言を言っている。
「キュン、キュンキュン…キュンッ」
何の夢を見てるんだろう? そんな雨の降るなかの、あったかいお休みでした。