数日前の事なのだが家に帰ると、奥さんが不意に「今日、ハチに刺されたの!」と言い出す。
「何処で?」
「家の裏。たまたま裏に回ったら隣の旦那さんが『ハチの巣ができてる』って教えてくれたの。しょうがないから、頑張っちゃったわよ!」
「で、刺されたわけ? どれくらい?」
「う~ん、5ヶ所か6ヶ所」
「そんなに!?」
奥さんの話では、手の平サイズほどもあるキアシナガバチの巣があったという。
「ダメじゃない! 何で、僕の帰りを待たないわけ?」
「この前、ベランダで小さい巣をやっつけたから、それで自信を持っちゃったのよね」
アシナガバチならそんなに毒性はないが、あんまり刺されるとアナフィラキシーショックという、刺されることによるショック症状が出たりするので、あんまり奥さんには無謀な事はしてもらいたくない。
それでひと段落着いたと思っていたらその翌朝、「大変、大変!」と奥さんが僕を呼びに来る。
「どうしたの?」
「今度は裏の二階部分にすっごい、ハチが集まってる!」
慌てて裏に行くと、確かに裏の二階部分にわやわやとハチの群れが。しょうがないので退治法を考えたが、二階の天井付近で、しかもうちには殺虫剤も置いてない。
「掃除機で吸い取るか」
傍の窓を開けて掃除機のノズルをハチの群れに近づけるが、ハチは飛び散るし、あまり吸い取らないしで危なくてしょうがない。おまけに窓からだと思い切って顔が出せないので、どうなったか判らない。
仕方ないから外から見ると、またハチが群れに戻ってる。そこに隣の奥さんが声をかけてきた。
「掃除機で吸い取ったんですか?」
「いや、吸い取れないですね。帰ったら、殺虫剤買いに行きますよ」
「お貸ししましょうか?」
そう言うので殺虫剤を借りると、なんと「ハチ専用」の殺虫剤である。「専用」? 赤くて角がついてるやつか? 「連邦のモビルスーツは化け物か?」…いや、こんな事考えてる場合じゃない。
窓からそろそろと手を出し、殺虫剤を噴射! 驚いたことにハチがボトボトと落ちていく。凄い威力だ、さすが「専用」!
しかしその翌日、今度は一階の裏に再び群れを発見した。視界が悪かったので、難を逃れたやつが多かったらしい。それを会社から帰ってきて「専用」を購入してきて、暗いなか群れに向けて噴射する。ハチというのは夜は活動が鈍いらしく、動きが悪い。直撃をくらってボタボタと一匹残らず地面に落ちていく。やはり専用、凄い威力だ。
翌朝、その場を見ると、ハチの群れの残骸がゴロゴロと転がっていた。化学兵器というのは凄い威力だな、恐るべし「専用」。
で、刺された奥さんは大丈夫かといえば全然大丈夫だったのでご心配なく。数日前にとった、奥さんが本気でロックと遊ぶ動画など公開してみた。かなりイメージはぶちこわしかもしれない。
http://video.mixi.jp/view_video.pl?owner_id=16012523&video_id=4691044
ついでにロックがかき氷を食べるところもアップしてみた。かき氷が好きな、変なジャックラッセルである。
http://video.mixi.jp/view_video.pl?owner_id=16012523&video_id=4691196