ずっと根に持っていることがあって、ずっと忘れずにいて、許せずにいることがあって、そんな自分が嫌でどうにかしたくて、どうしたら良いのか分からなくて、途方に暮れて、また次の日を迎える。
ある和尚さんが言った。
同じ日が来るように思えても、刻一刻と変化して、大切なものがなんなのか分からないうちに一生を終える。
しょうもないことにとらわれて、考えなくても良いこと考えて、そんな風に人は一生を終える。
って。
本当にその通りだよな。どうしようもないことだらけで、自分一人でなんとかできるわけなくて、どうにか生きていかなきゃいけなくて、頑張らなくちゃいけなくて、逃げてばかりいてもしょうがないって思ってる。
そんな風に、どうしたら良いのかを日々悶々と考えているとき、あることが思い浮かぶ。
七つの大罪のエリザベス王女が、敵にこてんぱんに殴られるんだけど、ちゃんと敵の弱点を見抜いて、傷だらけになって倒されるんだけど、そこをメリオダスが助けるシーンがある。
弱虫で、どうしようもないって人から言われて、追いすがろうとするんでしょ?って誰かに言われていたけれど、自分でちゃんと行動して、ケガした彼女を見たとき、まるで自分のことのように思えて泣けてきた。
感情移入する前は、負けちゃダメだって応援する立場だったのに、いつの間にか、自分がその役をいつかはやらなくちゃいけないんだって思えて、泣けてきた。
それで、それから、また同じような話があって、暁のヨナのヨナ姫が過酷な試練を与えられて、命張って、崖っぷちにある薬草を取りに行こうとするんだけど、海に落ちそうになって、とげとげの蔓に両手で捕まって、必死で自分の命を守ろうとするんだけど、結局助けが入って、目的のものを手に入れる。
その時、言うんだ。
仲間が戦場のど真ん中にいて、戦って血を流していることを考えたら、こんな痛みどうってことないって。
こんな感じのことを言うんだけど、その時、ふと、自分の父や母のことを思い出した。
脳梗塞になってもろれつが回らなくなっても、しんどくても、苦しくても、なんとか自分の力で兄や私、自分、母のために生活費を稼いできた父のことを考えると、とんでもないことをしでかしたんだと後になって思う。
それと、母のこと。
自分や兄を育てるために死んでいったんだよな。
何、わがまま言ってんだ?人、一人死んでんのに。
どんどん忘れていく感情があって、どんどん忘れていく思い出が増える。
でも、ちゃんと自分が存在するってことは、ちゃんと生かしてもらったからだろう。
何、生意気言ってんの?何、わがまま言ってんの?って思えてくる。
誰かのために生きていくということの重さは、それを経験した人にしか分からない。
だから、精一杯生きていこうと思っているのに、計画は頓挫したまま。うまくいかない日々が積み重なって、埋もれて、土砂になって、自分をまたないがしろにする。
どこに答えがあるか分からない。でも、確かな鼓動はここにある。
感情が動いたんだ。今日。
もう好きな人たちとは一緒に居られないってことだけは分かる。
だって、また嫌いになるのが怖いから。
好きだったのに、嫌いになる。
決めていたってどうなるか分からない。じゃあ、最初から決めない。
そうしなきゃいけないなんて思いたくない。だって、絶対なんかない。
ただ一つだけ確かなことは、死ぬことだけは未来の予定で決まっている。
だから、それまでどう生きていくかなんて自分で決めても、それがちゃんとそうなるのかどうかなんか分かんない。